
ミーターの大冒険 余白 第18話 正と負の対消滅
ヴァレリー もちろん、そのつもりですよ。
いいですか、わたしの存在はアルカディア・ダレル様の構想から由来しているのは、ご存知ですよね。
ハニス もちろんだとも。イルミナの再来だからね。
ヴァレリー そうです。
アルカディア様は、あなた様の盟友であられましたオリンサス・ダム様に頼んで、ミーター・マロウ様を製造してもらいました。
ハニス そうだが、それがどうした、というのですかな?
ヴァレリー そして、ミーター様とイルミナという絶妙なカップルで銀河復興の大事業を完遂されたのですよね。
ハニス それもその通りですよ。我が新たな相棒殿。
ヴァレリー ですから、その「相棒」ということですよ。
ハニス はあ、やっとお主が言いたいことがわかった。
こういうことだろう。
「陰陽」ということは、絶妙なカップル、相棒ということですかな?
ヴァレリー その通りですよ。男と女、雄と雌。あの「ノアの方舟」に載せられた動物たちも対で載せられたのでしたから。
ハニス だんだんきみの言いたいことがわかってきた。
ようやく、見えて来た。「反陰陽」の意味が。
ヴァレリー そうです。「反ミュール」の深い意味は、ミュールのその異常な生体からも考えられますよ。
まず、ミュールは、生殖不能者でした。
それに対して「反ミュール」は生殖旺盛なガイア人のことですよ。
ハニス なるほど!
ヴァレリー ソラリアのバンダーは、両性具有人間でした。言うならば無性生殖人種でしたよね。しかも、皮肉にもソラリアの恋多きグレディア・デルマーの一族の子孫ですからね。
ハニス そうだな、相当皮肉な現象だな。
それで、博覧強記のお嬢様、何が言いたいのかな?
ヴァレリー そう茶化さないでください。順を追ってご説明いたしますので。
そうですよ。このカップルは、男女、人間、ロボットを問わず、入れ替わり立ち替わり、この銀河で重要な役割を果たしてきた、ということです。
ハニス う~む!
ヴァレリー いいですか、あのダニールの最初の活躍は、地球の鋼鉄都市における刑事イライジャ・ベイリーとでした。
男性人間とロボットでしたよね。
次のイライジャ・ベイリーの活躍は惑星ソラリアでのスペーサー人、グレディアの事件でしたよね。
ハニス そうだった。地球人とスペーサー人という組み合わせだった。
ヴァレリー そして惑星オーロラでは、そのソラリア人グレディアと男性ロボット、ジャンダー・パネルとの恋愛事件でした。
そして、ダニールはそれから数多くの文明復興で「混沌」と何度も戦っては敗れました。
そこで、ダニールは、最終的に女性ロボット製造に思い至ったのです。
23 ガール:「もう一つの方は一文のみで、直感、感応、触れ合い、溶け込み、融合、歓喜、充満」とそらんじた、
その時、ヒューミンが遮って、
ダニール:の後の再生。(3i)
『ダニールの地球探索』「精神感応者」
ハニス そうだったな。その女性ロボットというのが、ドース・ヴェナベリさん。惑星イオス製造。
そういうことか。
「反陰陽」という意味は、そう理解しなくてならなかったのか!
ハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションも、ガール・ドーニックとウォンダ・パルヴァーなしには展開できなかったからな。
それを見通してダニールは陰ながら誘導して行ったと見るべきだ。
ヴァレリー ハニスさん、そうなんですが、アルカディア様の素晴らしさは、それにとどまらなかったのですよ。
ハニス それにとどまらない!?
ヴァレリー アルカディア様は、第1ファウンデーションの存在意義を再構築するのに、長い年月を通して、ダニール・オリヴォーと潜在意識領域で交流されました。
そして導き出されたのが、「非陰陽」あるいは、「超陰陽」という領場だったのです。
ハニス なんだって!?
「非陰陽」、
「超陰陽」、
「正と負の対消滅」!
ヴァレリー ハニスさん、素晴らしい洞察です。ついに行き着きましたね!
つづく
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