ミーターの大冒険 余白 第26話 宇宙の賢者
ヴァレリー ハニスさん、でも結局人類はうぬぼれと欲望肥大で滅ぶんでしょう?
ハニス そうだな、まるでサイクルが正と負の巡回で転んで行くようにか!
ヴァレリー ですから、ダニール様は、やはり危ない、と言わざるを得ないのでは?
ハニス そうだろう。そう思う。
しかし、果たして陽電子頭脳の寿命が永遠であろうか?
ここは、やはり最終判断を「宇宙潮流」に任せなくてはならないだろうよ。
ヴァレリー おっしゃる通りかも知れませんが、あのミーター様は、そのことをご存じなのでしょうか?それにトレヴァイズ様やブリス様は?
ハニス そうだな。知ってるかも知れないな。そしてそれに対して、彼らがどう判断し、どう対処するかは、彼らに任せた方がいい。
ヴァレリー ミーター様や、トレヴァイズ様たちは、異常なまでも賢明であられますからね。
ハニス おいおい、それじゃ、まるで俺がダニールと同じで、痴ほう症にかかったような言い方じゃないか?
ヴァレリー それではお聞き致しますが、賢者殿、そのようなご判断をされるのには、何か他にふくむところがおありなようですね?
ハニス ははあ、見破られたか。
しょうがない、率直なところ、まさにキミが今詳細に語ったことに悟らされたからだよ。
ヴァレリー トレヴァイズの発言ですか?
ハニス そうだ、やはり、2万年を機能してきた賢者ダニールは、我らの知能領域を遥かに超越していると考えるべきだ。
かのシンナックス人の行動力に、ダニールは一方で驚嘆し、他方でシンナックス人とは別な流れのスペーサーやセッツラーの流儀から、いわば抗ったのではないだろうか?
そこに彼ご自身の限界を感じられた、と思う。
そこで、例のファロムを引き寄せ、最後の最後の賭けをこうじられた、と思う。
それがアンドロメダ銀河への跳躍だよ。
ヴァレリー ハニスさん、お見事です。
きっとそうに違いありませんよ。
2万年後の人類は、他の銀河で未知の存在に遭遇する。きっと遭遇して、さらなる変貌をきたす。未知の生命体に出会うかも知れませんし、ハイパー知能を身につけるかも知れませんね。
ハニス キミの言う通りだ。申し分ない。
だからといって、せっかくキミの提案の小マジェラン銀河への渡海を断念するつもりはない。
ヴァレリー それをお聞きして安心しました。
ハニスさん、このお話しから、貴方様のもうひとつの懸念(謎解き)のお話しに繋がるのでしょうか?
ハニス さすが、旧帝国辞書ハイパーデータベース殿。俺の発言の一切を見過ごしになられてはいない!
次話につづく。
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