ミーターの大冒険 余白 第13話 ジョウル・ターバーの秘密

ヴァレリー ハニスさん、あなたのジャーナリストの原点というのは、そしてもしやあのアルカディアさんとの接点というのも、そのジャーナリストというあなたの以前のお仕事とご関係があるというのでしょう?
ハニス そのとおりだよ。俺が子供の頃、とても熱中して読んでいたのが、その時はもう引退していたジョウル・ターバーの『カルガン戦争報告』だった。毎週一回届く「スペース・エディション紙」のグラビアを目を輝かせて読んだものさ。
ヴァレリー それが大人になられてから『カルガン戦争記』や『アルカディアの凱旋』という当時ロングセラーになった本を続々と書かれた結果になられたのですね。
ハニス まあそうだが。あとで分かったんだがね、そのジョウル・ターバーは、俺の爺さんの弟子だったんだ。これには驚いた。これも驚いたんだが、そのおれの爺さんはサンタンニ出身で、コンポレロンで亡くなってる。どこでターバーさんは俺の爺さんのもとで下積み修行をしたか一切口外しなかった。
なんか怪しいだろう?
ヴァレリー そうですね。それでハニスさんは、それからますますその秘密というか、謎にのめり込んで行ったというのですね。それでとうとう結局、ラヴェンダー農園のアルカディア屋敷の回りをうろつくようになられたというわけですね?
ハニス 「うろつく」っていうのはいただけないが、まあそんなところだ。
ある日べリス岬の近くの縦洞窟に誤って落っこちたことがあった。
少しの怪我で済んだのだが、落ちたところが古文書の上だったもので、それがクッションとなってくれたというわけさ。
ヴァレリー まあ、よかったですね。
ハニス その文書というのが、あとになって、ミーターとイルミナの活躍の原動力になった。落ちた時の怪我を介抱してくれたアルカディアさんの横顔は美しかった。ただチラチラと横目で俺が持ち込んだ古文書の束を気にしながらね。

ヴァレリー その文書が、「ベイタ文書」といわれる品物だったんですね。その中には「ガール文書」や『児童のための知識の書』、『ジョン・ナックの歴史思想書』の一部という貴重な資料があったのですよね。
ハニス それの発見当初は、俺はとてもチンプンカンプンだったんだがね。アルカディア家に逗留するようになってから、ミーター君とそれに没頭したんだ。

アルカディアさんは、それらをもとにして、『続・追憶の鍵を開けて』や『続・何度も何度も繰り返して』を亡くなる前までで書き繋いでいったというわけさ。
宇宙の謎は神妙、そう簡単には真相は掴めないものよ。
『アルカディアのことば』
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