ジョン・ナック

2万年後の銀河

ミーターの大冒険 余白 第29話 ジョン・ナック

ハニス ヴァレリーさん、科学文明偏重主義が人類に及ぼす弊害や歪みとゆがみについてジョン・ナックは端的に批判する言葉を22世紀に残している。

ヴァレリー はい、だいぶ昔ですね。どんな?

ハニス ははあ、答えるのはキミだ。

ヴァレリー ハニスさんたら、いつもそうなんですから。わたしたちイルミネーショナーの能力の品評会がだいぶお好きなようで。
そうですね。「科学文明だけが全てではない。人間の心と精神も同じくらい重要だ」ですね。いわば人間の心には、愛や思いやり、共感、喜び、悲しみなどの感情があります。心の豊かさは、科学や技術だけでは満たされない人間らしさを表現します。

便利さの陥る弊害は数しれず、人々が依存しすぎて自己の能力や創造性を失い、逆に怠惰になり、対人関係が希薄になることが挙げられます。また、便利さの追求が環境への負荷や資源の浪費を引き起こすこともあります。

ハニス それで科学絶対主義で自己中心的に凝り固まり、それが社会に反人間的風潮が蔓延って人間不信どころか、家族愛も喪失し、結婚も少なくなるし、それに伴って出生率もドンドン下がり、あのスペーサーの星ではついには人口が急激に低下し、何百年もしないうちに、廃墟になっていた、という報告があるね。

ヴァレリー それって恐怖ですね。
ハニス教授、それって非緑化、沙漠化と文明の破滅の相関と似ていますよね。

ハニス まさに。それが、ジョン・ナックの理論の重要なポイントだよ。

ヴァレリー その非緑化、沙漠化と人類の科学万能主義とは関連があるってことですね。
それにしても、人類の地球時代に、突然ジョン・ナックがはじめて、そういう思想を創出して、普及したとは思えませんが? 他にも、それ以前にもそれに人類は気がついていたのではありませんか?

ハニス おっしゃるとおりですよ。もちろん、ジョン・ナック以前にもジョン・ナックと同じ考えを構築した人は数えられないほどいたのは確かだね。

ヴァレリー それじゃ、どうしてジョン・ナックの考えがそんなに脚光を浴びるようになったのでしょうか?

ハニス そうだな。ごく簡潔に纏めるとだね、かれの成功の要件には、やはりかれの出身のニフ列島のことに関わりがあるのではないのかな?

ヴァレリー なるほど、かれが育った環境を考えろ、っていうことですね。地球時代のニフって、だいぶ他の地域と違っていた、とおっしゃるのですね。
それじゃ、ますますニフ人のことを学ばないといけないのですね。
そうしますと、ハニス先生、ニフ人の存在の有り様について、なにかお考えがありそうですけど。

次話につづく ...

「ジョン・ナック」については、『ミーターの大冒険』
「イルミナ」第10話 の『ジョン・ナック・宇宙潮流 』 をご覧ください。

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イルミナ|YASUKAZU
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