8. アルバート・アインシュタイン
2万年後の銀河シリーズ
第一弾
ファウンデーションの夢
第二部 ガイア
エピソード 8
セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。
わたしYi Yinのサイエンス・フィクションはアイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズをほぼ下敷きとして哲学者ノース・ホワイトヘッドの「移動と新しさ」の哲学に貫かれている。
あらすじ
漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。
ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。
ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。
ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!
銀河の復興には歴史消滅からの回復が必要であり、地球についての記憶を甦らすことが必定であり、その根幹には放射能の除染がその是非の鍵になっていた。
ダニールの前途には避けられない大課題がよこたわっていて、暗いベールが懸かっていた。
ダニールは、思い出したようにヘリコン人についてダニールに尋ねた。
廃墟になったカッシ市の上空でダニールの船は、いよいよ地球を離れようとしていた。
超高度に仕上げられたレオナルドはすでに十分、会話の相手になっている。
第 3 話
アルバート・アインシュタイン
Albert Einstein
ジョン・ナックの言葉が、重く響いていた。
「進化は必ずと言っていいほど袋小路に陥る。ふつうはそこで絶滅するが、一部のものだけは、時間を遡って、生存の糸口を探りだす。」
航宙船シンパティック・ハーベイの研究室で、その言葉を反芻していたダニールは、ふと顔を上げた。「レオナルド、その神話の妥当性を確認してもらいたい」
レオナルドは少し眉をひそめたが、すぐにナックの理論について説明を始めた。「ナックはその根拠を示しています。ゲノムのハプロタイプDEの分岐が八万年前、アララト山の麓で起きたと。そして、彼はもう一人の二十世紀のヘリコン人の祖先を紹介しています。アルベルト・アインシュタイン──相対性理論を明らかにした人物です。ナックは相対性理論が空間と時間の相関だけでなく、時間と時間の関係にも適用できると解釈する説もあると加えておりますが」
ダニールは感慨深げに頷いた。「ありがとう、レオナルド。これで大きな謎が解けた気がするよ。選択の自由とは、拒否も含まれる。彼らは東西に分岐しなくてもよかったんだ! あるいは、今からでも遅くはないかもしれない。清らかな川の辺りへ戻ることだって . . . 」
レオナルドは、微かな笑いを浮かべた。「それは科学理論では解決できないものです、ダニール」
「果たしてそうであろうか? 原初に戻ることが可能であるならば、きっと . . . ガイア!」ダニールは遠くを見つめながら言葉を紡いだ。
ふと、ダニールが視線を戻し、レオナルドに尋ねた。「ところで、君の言っていた“謎”とは?」
レオナルドはダニールを見つめ、表情に含みを持たせた。「ダニール、もうあなたが解いてしまったでしょう?ひと(?)が悪い」
ダニールは静かに微笑み、レオナルドの言葉を受け止めた。「実は、もうひとつ解かなくてはならない謎が残っているのだよ」
その謎の内容について語られるのは、次の話を待つしかなさそうだった。



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