第3話 精神感応力者
第一部 ダニールの地球探索
第3話 精神感応力者
銀河暦12066年。
天の川銀河を越え、R・ダニール・オリヴォーは「地球」の痕跡を求めて旅を続けていた。同時に、彼にはもう一つの使命があった。心理歴史学の創始者ハリ・セルダンに続く後継者を見つけることだ。
彼が辿り着いたのは、かつて伝説に語られた海洋惑星を模倣して造られた星シンナックス。そこには、地球の太古を思わせる海と緑が広がっていた。
ダニールは人間に擬態し、「ヒューミン」という偽名でシンナックス大学に潜入する。目的はただ一人の青年、数学とカオス理論に天才的な才覚を持ち、さらに稀有な精神感応力を備えたガール・ドーニックに接触するためだった。
透き通る青空の下、マングローブが茂るキャンパス。木陰のベンチに腰掛けたヒューミンは、近づく気配を察知し静かに目を開いた。そこに現れたのは、学会発表を控え胸を高鳴らせている若きガールだった。
「おーい、ガール・ドーニック君ですね?」
怪訝な表情で足を止めたガールは、急いでいると答える。しかしヒューミンは彼が見つけた“二枚目の古文書”について切り出し、ガールを驚愕させる。結局、彼は半ば引き寄せられるように隣へ座った。
語り始めたガールは熱を帯びていた。二ヶ月前、神殿の壁画の裏から古文書を二枚発見したのだ。ひとつには失われた高次文明の記録が記され、もうひとつにはわずか一文だけが残されていた。
「直感、感応、触れ合い、溶け込み、融合、歓喜、充満 . . . 」
ガールがその文を口にすると、ヒューミンが静かに続けた。
「 . . . そして、その後の再生。」
驚愕したガールは息を呑む。「なぜ、その続きを . . . ?」
ヒューミンは低く呟いた。
「忘れるはずがない。それは、私が作った“ロボット第零の法則”の補足だからだ。」
その瞬間、ガールの瞳には星空のような驚きと敬意が入り混じった。
ダニール・オリヴォー、その計画は、こうして静かに動き始めていた。
つづく。



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