- 銀河の希望エアルト号
ミーターの大冒険 第一部 紫からの飛躍
あらすじ
アポリアナは八十一歳でこの世を去った。彼女の思想に深く共鳴していたハニス・イザルは、ミーターとオリンが見守る中、遺言のすべてを聞き取り、彼女の最後の願いを胸に刻む。
その遺志とは、「母なるダークマター」の力を鍵とする銀河再生計画の実行だった。危険で無謀に見える挑戦にもかかわらず、ハニスは迷わずそれを受け継ぐ決意を固める。
一方、ミーターもハニスの人柄と実績に深く感銘を受け、二人の対話はネオ・エーテル創世期の英雄たち、ヒュー・ドナック、シャウ・リーガル、リック・エフォーラムらの功績へと及ぶ。こうして、アポリアナの遺志を継ぐ三人——ミーター、ハニス、オリン——の進むべき道が、静かに光を帯び始める。
本編
ネオ・エーテルの薄明の空に、「銀河の希望エアルト号」が静かに輝いていた。その艦体に映るラヴェンダー色の反射は、まるでアポリアナの魂が宿っているかのようだった。
ハニス・イザルは、ミーターの肩にそっと手を置く。
「ミーター君、本当にご苦労だった。アポリアナさんの悲願——第一段階が無事に終わったのは、君の尽力あってこそだ。あのエアルト号の姿が証明している」
ミーターは控えめに微笑む。
「ハニスさんの支えがあったからです。それに、名前をつけてくださった。『銀河の希望エアルト号』。確か、初代アポリアナの親友、ハント・エアルトさんに由来しますよね」
「そうだ。エアルト仕様ラヴェンダーを運ぶ意味もある。ハント・エアルトへの敬意さ」
「ポリー(アポリアナ)の『ベリー・エコーの生涯』に書かれた、遍在の鉄僕さんが、ブラックホールに飲まれそうになったエアルト号を救ったくだりからヒントを得た命名ですね。よくぞ理解してくださいました。ポリーも浮かばれます」
ミーターは少し沈んだ声で続ける。
「でも……できればネオ・エーテル政府にも、もっと理解を示してほしかったですね」
ハニスは苦笑し、視線を遠くに向けた。
「残念だが、ここはもう腐敗し始めている。希望は薄い。秘密裏に進めるしかなかった。だが……“母なるダークマター”の力、まだ信じがたいが、賭けるしかないな?」
「信じましょう、ハニスさん。アポリアナは正しい。ドーラさんだって保証してくれました」
ミーターは回想するように静かに言葉を紡ぐ。
“あなたたち三人の勇気は、銀河全体の希望となります。このラヴェンダーのエアルト仕様エキスは培養され、大量生産され、強力な放射能除染液となるでしょう。あとはアポリアナの意向を完遂してください。必要な時は必ず駆けつけます。”
ハニスは微笑む。
「しかし、ドーラさんはアポリアナさんにそっくりの美人だったな。いつかイオス星でラヴェンダーの温泉に浸かるのも悪くないかもしれん」
ミーターは呆れ顔で眉を上げる。
「ハニスさん、今それは冗談ですよ!僕はぬるま湯派ですからね」
ふと手を打つように思い出した。
「そうだ!エアルト号の外装の隅々まで、ラヴェンダー色に塗り忘れてました!」
ハニスは笑い、その笑いはどこかアポリアナの面影を含んで、空に溶けていった。
つづく。
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