64. 第7話 沈黙と光の残響

アルカディアの遺言
  1. 第7話 沈黙と光の残響 ファウンデーションの夢 第八部 アルカディアの遺言

アルカディア ミーター、ねえ。これから、放射能についての話をしますよ。
 ここ50年で銀河はすっかり様変わりしてしまっているわ。私が銀河じゅう放浪していた時代とは全然違って来ているのねえ。人口減少どころか廃墟になってしまった星が数多くなってるんですから。
 それもこれもみんな電力を、原子力にたよってきたばかりにですよ。
 放射能漏れの事故が続出して、住民が住まいを追われたり、原子力発電所を維持するのに必要な技術者がいなくなったりして、原子力発電所が放置されて、そこから大量の放射能物質が外部に洩れだし、星全体の地表を汚し、海に流れこみ、生態系を破壊し、それによって生物全体の遺伝子を変異させて、新種のウイルスによってパンデミックを起こしてきたんだわ。
 人間の体に対しては、放射性物質は、9割くらいが放射性ヨウ素で、残りの1割くらいが放射性セシウム。放射性物質が環境中に出て、放射性ヨウ素が大地に降り注ぎます。放射性ヨウ素は、水に溶けやすい。土の中の水分などに入ると、そこから草が吸い込んで、食物連鎖で人間の食べ物になる段階では何百倍の放射能を帯びることになるのよ。
 そうして、人間の遺伝子の配列を壊して、甲状腺癌や白血病、などを惹き起こしてきたんだわ。とくに幼児には、急激な成長段階の遺伝子に変異をきたし、または奇形を生む、といった無残な現実が起きてしまったのよ。
 悲惨この上ない負の連鎖なのね!

ミーター アルカディー、もうそれ以上、聞きたくない!!

次話につづく

Photo :アルカディアとミーターはジュジの伝えた惑星プリピャットの様子を回想する。沈黙と光の残響がラヴェンダーのフィルターで新たな光景へと変貌しつつある。家族の夢である観覧車の歪んだ光景が悲しさをます。

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