- まずは希土類を
ミーターの大冒険 第一部 紫からの飛躍 第12話
惑星ネオ・エーテルの空は、今日も静かだった。
その静寂は、秩序ではなく、保存の結果として存在している。
ハニス・イザルは、観測室の窓越しに星を見つめながら語った。
リューシズム―遺伝的変移。
それは肉体の変化ではなく、文明が自らを更新するための意志である、と。
「オリンさんはアポリアナさんの遺言に従って、ふたつの使命を言っていた」
ミーターは黙って聞いていた。
キュー(R・Q)として設計された彼の内部では、反クォンタム頭脳が静かに脈動している。
「分かります。惑星オルビタルへの航路に耐える新型宙航船、もう一つは、モーヴの銀河連邦図書館の全バーチャル化ですね」
「オリンさんはそのために希土類を必要としている。」と不必要な説明を加えた。
当然、知っているミーターは、軽く頷いた。
「移動とは、精神の冒険だ」
その言葉は、座標を超えてミーターの内部に沈んでいて口の中で反芻しかけた。
異質なものを拒まないこと。
未知を材料として取り込むこと。
それこそが、文明が生き延びる条件なのだと。
だが現実は冷酷だった。
ネオ・エーテルには、未来を保存する資源が欠けている。
「過去へ行くしかない」とハニス。
惑星リリナス。
かつて銀河の中心だった星。
アスクシオン地区に眠る、忘れられた鉱物希土群。
「ミーター君、君は、この銀河にある希土類すべてが惑星リリナスにある、というのだね」。
「間違いありません。なにせリリナスが銀河連邦中心でしたから、そこのアスクシオン地区には捨て置きされた大量の希土類が遺棄されたままでしょうから」。
そして―
ハニスが最後に口にした名は、さらに深い影を落とした。
コンシューアム。
第二の保存者。
そして、記録に存在しない「それからもう一つのグループ」。
それは探索ではなく、
歴史そのものへの接触だった。
「今回は、俺一人の旅にしてくれ。君にはペリゴールを守っていて欲しい」
つづく。



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