ミーターの大冒険 余白 第１話 午後一のひかり
ヴァレリー ハニス、ジスカルド・ハニスさん、お目覚めですね。わたしはヴァーチャル看護婦のヴァレリーです、ヴァレリー・ダムです。
ハニス ヴァレリー？
ヴァレリーさん、ここはどこなんですか？
ヴァレリー まあ、ご存知ないのですか？
ハニス ええと、さっきまで、自転車をこいでたと思うが？そうだ、アメリカ大陸を横断していた、と思うが？
ヴァレリー ここは、地球の上空のアース・オービットの中です。
あなたは相当、運の強い方です。
複数の疾患をもっておられるのに、普通の人間では全く無理で、無謀なことをされておられました。
倒れて、意識を失くされてから半年が経っておりますよ。
あなたが倒れていたところを同じ自転車の旅行者が見つけて通報してくれました。
近くの病院の救急車があなたを拾い上げて、病院に連れ戻り、救急治療を施しました。
そしてあなたの生体をチェックしました。
そうしたらあなたの身元が尋常でないとわかったのです。あのミーター様の盟友だと判明されました。
それで、この地域で最高度の治療ロボットがいるここに連れて来られたのです。
ハニス じゃあ、ここは、あのアース・オービターの中というのですね？
ヴァレリー そうです。あなた様は、この銀河で最高度の治療を受けられたのです。このアース・オービターは、銀河復興の記念的宇宙船ですからね。
この中でわたしは働かさせて頂き、大変光栄に思っています。
そしてここで数奇にも銀河復興を成し遂げられたミーター様の盟友の方の看護が出来ますことを大変名誉だと思っています。
ハニス 教えてくれ、俺の病気は？
ヴァレリー ご存知ないようですね！
ほぼ死に至る病でした。複数の疾患がありました。
ハニス まあ、地球に到着するまでにはだいぶ体調がすぐれなかったのは確かだ。
なんだ、その死に至る病、とは？ 尋常な表現ではないぞ。
ヴァレリー はい、複数の疾患で、さらに、最悪にも、今地球に再発された新種のコロナウイルスに感染されたのです。
ハニス そうだったのか！
それで複数の疾患とは？
ヴァレリー 正直に申します。癌、心臓病、エイズ、脳卒中。
ハニス 確かに、凄い！そんなにわるかったんだな。
ところで、君の名をもう一度言ってくれないか。
ヴァレリー ヴァレリーです。
ハニス ヴァレリー、ファミリーネイムの方だよ。
ヴァレリー はあ、ごめんなさい。ダムです。
ハニス 待てよ、ダム女史。
ヴァレリー そうです。その通り。オリンサス・ダムのダムです。
ハニス と言うことは、あのイルミナの？
ヴァレリー えへん、おっしゃる通り、イルミナ・ダムの分身の１人です。まあ、１人と言っていいかどうかはわかりませんけど。
ハニス あのイルミナが今、ここに！！
俺としても運がいい。もう一度イルミナに会えた、なんて！
ヴァレリー わたしとして、そう言われて大変光栄で嬉しい限りです。
ハニス 俺もだ。栄えあるひかり、って言うんだな。
ヴァレリー ニフの言葉ですね。
ハニスさん、いい響きですね。ここの部屋の名前、「午後一のひかり」って言うんですよ。
ハニス まるでおれのこと、言ってるみたいだな。
□ 作品紹介
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