沈黙と光の幻想 『ファウンデーションの夢』外伝

2万年後の銀河

― 沈黙と光の幻想 ―
『ファウンデーションの夢』外伝
「アルカディアの遺言」前夜

アルカディア:ミーター、ジュ・ジは詩人でもありったのよ。私がまだ、ターミナスのここ、ペリーゴールに帰ってまもない頃、貴方と一緒にカルガンや、トランターやネオ・トランターという惑星を訪れた経験を『何度も何度も繰り返して、続編』に纏めたのよ。そのすぐ後でトランターのおじいちゃんが亡くなったと聞いたのよ。「プリー厶」、この名前は私にとって掛け替えのない宝ものよ。
ミーター:そうだったね。あのじいちゃん、面白かったよね。僕は、よくワイ地区から抜け出してヘイム人女の子とよく遊んだいたらね、近寄って来て、僕にこう話したんだ。『彼女らには気をつけるんだ、ミーター君。キミも彼女らように銀河を駆け巡るように感化させるからね』って。
そして僕らがターミナスに帰った後、アルカディアのおばちゃんがターミナスにやって来るようになって、プリームさんの死を僕らに伝えたんだね。

アルカディア:そうよ、サリナはそれ以来、ここペリーゴールにしょっちゅう訪れて来るわ。そして銀河各地の新しい情報をお土産に持って来てくれたわ。
そのジュ・ジの詩もそうよ。

ミーター:ジュ・ジっていい奴だったんだね。

アルカディア:そう、お祖父ちゃんはそのジュ・ジから惑星ガイアのことを聞いたらしいのよ。

ミーター:へぇ〜!惑星ガイアねぇ!

アルカディア:実わね、プリーム爺さんが惑星ロッセム上でミュールを遭遇した時にも背後で感応波で爺さんを援護し、ミュールを苦しめたのよ。この事実は銀河歴史の極秘なのよ。

ミーター:きっとそれって大事なことなんだね!

アルカディア:だからそれは、他言無用よ。いいわね、ハニスさんにも、ね。

ミーター:分かった。了解。そのジュ・ジていう人のことをもう少し教えてくれない?

アルカディア:いいわ。そうね、まず、惑星ターミナスの私たちにサリナ・サロム(旧姓パルヴァー)を遣わしたってことは大きいわ。それで今後の私たちの銀河使命が明確なったのよ。それって四つのグループの結束のためよ。四つ葉のクローヴァーの意味よ。

ミーター:とういうことは?

アルカディア:サリナがいうには、シリウス極星区のS・レムブラスティラン星系、もう少し簡単に言えば、惑星セーシェル付近の惑星プリピャットに古代の故郷惑星アタカナの悲惨さを伝える巨大モニュメントを造ったのよ。それで、惑星シンナックスやコンシューアムと我ら、そして惑星ガイアもそれに賛同し、応援したのよ。

ミーター:それって奇妙な行動ですね。人類の輝かしい過去の遺産を再建するんじゃなく、悲惨な遺産を建築するんですって!

アルカディア:そうよ。貴方もそのうちその大事さが、きっと分かるわ。

ミーター:そうかなぁ!

アルカディア:きっとそうなるわ。まず、私が覚えているそのジュ・ジの詩を口ずさんでみるわね、ちゃんと聴いてくださいな。

「プリピャット―アタカナの最初の罪の最後の記憶」哀歌

紫の空の下、
時間が息をするのを忘れた場所で、
ひとつの都市が眠っている。
窓には、光の亡霊たちが揺れている。

子どもたちの笑い声は、
今も放射の風に溶け、
塵とともに漂う。
星に届かなかった祈りのように。

川はもう歌わず、
太陽カビレはもはや温もりを持たない。
ただ、沈黙だけが覚えている。
—人が原子に触れ、
その火花を神と錯覚したことを。

この灰の中から、
また新しい文明が立ち上がり、
同じ賛歌を繰り返す。
「我らは太陽を手に入れた」と。

だがプリピャットは、虚空に囁く。
すべての輝こうとする星々へ。
「影を忘れた光に気をつけなさい」と。

遥か銀河の果てにあっても、
彼女の廃墟はまだ輝いている。
それは悲しみの大聖堂。
昔、家族たちの睦まじき観覧車の歓声も
今では冷風に荒み、無慈悲な機械の擦る泣き声を発するのみ。
アタカナ最初の罪を、
今も見守る記憶の守護者。

ミーター:ごめん、アルカディア、また涙が出て来た!

英語訳

『Pripyat, The Last Memory of Atakana’s First Sin』

A Lament by Ju-ji ( Yin Yi)

Beneath the violet sky,
where time forgot to breathe,
a city sleeps —
its windows filled with ghosts of light.

The children’s laughter
still floats in the irradiated air,
woven with dust,
like prayers that never reached the stars.

The rivers no longer sing.
The Sun-Cabire burns without warmth.
Only the silence remembers —
how man once touched the atom
and mistook the spark for God.

From this ash,
civilizations rose again,
each repeating the same hymn:
“We have mastered the sun.”

But Pripyat whispers through the void,
to every world that dares to shine:
“Beware the light that forgets its shadow.”

For even in the farthest galaxies,
her ruins still glow —
a cathedral of sorrow,
guarded by the memory
of Atakana’s first sin.

《完》

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