第10話 星界の涯
第三部 ウォンダとガールの地球探索
確かにあのとき、私は見たのだ。
小さな島全体が輝き、その光に包まれてゆくウォンダの姿を。
それは幻ではなかった。目撃した瞬間から、これまでに感じたことのない感覚が胸の奥に芽生えていた。いや、もしかすると遥か昔にあったものが、再び戻ってきただけなのかもしれない。
ヒューミンさんと再会し、スペースワゴンの中で目を覚ました時、私は怪力の女性に抱えられていた。そして今―あの少女を見た瞬間、かつてウォンダを包んだ光をはるかに超える強烈な輝きを目にした。
あれは間違いない。ウォンダの妹、ベリス・セルダン。
少しずつ真実の輪郭が見えてきた。ウォンダとステッティンが、ただハリの世話をするためだけにトランターに残ったのではないことを。そこにはきっと、ハリとヒューミン、二人の深い計らいがあるのだろう。
思い出す。ウォンダが不意に漏らした言葉―「星界の涯」。
それはターミナスではない。ならば、どこなのか。何のために?
これ以上は問うべきではないのかもしれない。
だが今は、ただひとつの願いがある。
もう一度、あの少女、ベリスに会いたい。そしてウォンダから託された三色に輝くシリンダー―「ベニ・サラの水」を、彼女の手に渡すことだ。
『ガール・ドーニックのターミナス到着当時の日記』
(ドース・ドーニックによる記録より)
次話につづく。



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