- 我ら銀河の子
ファウンデーションの夢
第七部 アルカディア・ダレル
第4話 エピソード 50
その場の空気は重かった。アンソーアの意図が分からないまま、トランたちはひとまずその場を切り替えようとした。モーヴ市民に伝わる愛唱歌、「我ら銀河の子」を歌い始めたのだ。
「冷たい銀河の風に打たれても僕らは怯まない
なぜって 僕らは高邁な理想に燃えているから
セルダン先生のあとを追いかけて
たとえボロなスペースワゴンだってへいちゃらさ」
歌声は、屋敷全体を包み込んだ。ホバーの低いバスが響き、トランの情熱的なテノールがそれに重なる。周囲の空気が変わり、アンソーアはその光景に圧倒され、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「熱い銀河の風に打たれて僕らは戦う
なぜって銀河はそれを望んでいる
ファウンデーションはきっと大銀河を復興し
希望が愛に変わる
宇宙の果てまで紫(モーブ)に染まる」
最後の一節が終わると、アンソーアは息を呑んだ。「 . . . あなた方の覚悟と信念が、ここまで強いとは思いませんでした。」その瞳には一瞬だけ、何かが揺らいだように見えた。
だが、ホバーの目は鋭いままだった。「歌で誤魔化されるほど我々は甘くない。」
「分かっています。」アンソーアは短く答えた。「私の装置で真実を明らかにしませんか?」
ホバーは静かに首を振った。「その前に、あなたの正体を確かめる必要がありそうだ。」
アンソーアの唇が引きつる。ここから、真の対決が始まるのだと誰もが感じていた。
歌が消えた後、再び静寂が訪れる。だが、その余韻は銀河の果てまで響き渡ったようだった。彼らは、銀河の未来を担う者たちだったのだから。
次話につづく . . .



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