300年目の晩餐会

フォウンデーションの夢

第11話300年目の晩餐会
2万年後の銀河シリーズ
第一弾 ファウンデーションの夢
第六部
ベイタ・ダレル

エピソード 44

第11話 300年後の晩餐会

ファウンデーションの設立から300年が経過し、かつての栄光は徐々に薄れつつあった。ターミナスのインドバー世襲政権のもと、暗雲が立ち込める時代に一部の者たちだけがその変化を感じ取っていた。心理学者エブリング・ミス、貿易商人ランデュ・ダレル、そしてベイタ・マロウもまた、時代の行く末を憂いていた。

ベイタ・マロウはトラン・ダレルと結婚し、トランの故郷ヘイブンに向かう途中、カルガンへの新婚旅行に誘われた。彼女たちの旅は、単なるハネムーンの予定だったが、宇宙を揺るがす大事件に巻き込まれることになる。

カルガンで出会った「ボボ」と名乗る道化師は、実はミュールという存在であった。ミュールはかつてファウンデーションを揺るがした超能力者であり、その計画は未だに続いていた。トランとベイタはボボを助ける形で、ミュールの陰謀に巻き込まれていく。

ターミナスへ戻った彼らは、インドバー政権が衰退する中、モーヴ市でミュールの影響を強く感じる。ミュールの感応力は戦艦の乗組員や民衆の心を掌握し、彼らは完全に屈服してしまう。

一方、ヘイブンに避難したベイタたちは、エブリング・ミスの提案で、トランターへ向かうことにした。旧ストーリーリング大学の近くに位置する自称コンポレロン人の農村共同体で、300年祭の準備が進められていた。村のリーダー、リー・センターは彼らを温かく迎え入れた。

農村共同体の歓迎会

ベイタとトランが村の屋敷に到着すると、リー・センターが彼らを迎えた。

「ダレル夫妻、こちらが私の娘、ウォンダ・センター。そしてこちらがネオトランターからいらっしゃったヴェナ・ビリさんです。」リーは二人に笑顔で挨拶をした。

ベイタは驚いて声を上げた。「リー・センターさん、この方(ヴェナ・ビリを指して)、ターミナスの私の家にある肖像画の先祖様、セルダンの奥さんだったドース・ママとそっくりですわ!」

「お嬢様のドレスも、私の三色のペンダントと同じデザインだわ!」と、ベイタはさらに驚いた。

ウォンダは不思議そうにベイタを見つめた。「ベイタさん、驚くのは私たちですよ。母のペンダントと同じものをどうして?」

リーはため息をつき、懐かしむように語り始めた。「昔、妻のペンダントを大変気に入った若者がここに来たことがある。不時着して、妻に看病された男…独立貿易商人協議会のランデュ・ダレルだ。彼がトランのおじさんだったのか。」

その言葉を聞いたベイタは、ふと過去の出来事を思い出した。「トラン、あなた、ランデュ叔父さんが若い頃、ここに来たのをどうして内緒にしていたのか、わかったわ。叔父さんが最初に私に会った時、このペンダントをじっと見つめていたのよ。私の美貌じゃなくて、ペンダントを…」

トランは微笑みを浮かべつつも、内心驚いていた。この一族に隠された歴史が次々と明らかになる中、彼らはファウンデーションの命運が彼らに託されていることを悟り始めていた。

ウォンダは感慨深げに父リーの方を見た。「お父さん、私も気が変になりそうよ。」

ファウンデーションの運命

彼らが巻き込まれた出来事は、単なる偶然ではなかった。300年の時を経て、彼らの行動が銀河の未来を大きく変えることになる。ミュールの陰謀、ファウンデーションの衰退、そして第2ファウンデーションの登場が目前に迫る中、ベイタたちはこれからの戦いに備えなければならなかった。

それでも、彼らの旅はまだ始まったばかりだった。そして、ファウンデーションの夢が新たな形で再び銀河を照らし始める。

次話につづく . . .

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