59. 鶸色の伝説

アルカディアの遺言
  1. 第2話鶸色の伝説
    ファウンデーションの夢 
    第八部 
    アルカディアの遺言
    第2話 

鶸色の伝説 

大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第八部の大枠

58 第1話 究極のアウトソーシング 
59 第2話 鶸色の伝説
60 第3話 12858年前
61 第4話 全体主義の恐怖
62 第5話 宇宙最大の謎
63 第6話 ドース・涙の太陽
64 第7話 原子力、宇宙に対する大罪
65 第8話 甦りの銀河
66 第9話 ミーター・新シャーロック・ホームズ
67 第10話 甦りの水
68 第11話 夢を引き継ぐ者

あらすじ

 「ファウンデーションの夢」の最終部になります。次作「ミーターの大冒険」を橋渡しする部分になる。
 アルカディアは81歳で天寿を全うしようとしていた。暦はターミナス443年。
 アルカディア農園はほぼラヴェンダーの畑。第二期のポエニッツ仕様のラヴェンダーのエキスがもうひとつの主役。
 アルカディアは全身全霊をかけて14歳から共に歩んできたミーター(ミーター・マロウ アルカディアの命名でダレル家が名門マロウに繋がることを重んじたから。)に訥々と遺言を語る。
 ハリ・セルダンとガール・ドーニックによって導かれた銀河復興の希望をミーターに賭けるアルカディアの切実さと真摯さとが最後の息までもその輝きがラヴェンダー畑に染み渡る。
 彼女はまず、「反ミュール」の現象から話しはじめる。

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【鶸色の伝説】アルカディアの遺言とミーターの誓い

—『ファウンデーションの夢』第八部・第2話より—

ファウンデーションの夢 第八部 構成一覧

  1. 第1話 究極のアウトソーシング
  2. 第2話 鶸(ひわ)色の伝説
  3. 第3話 12858年前
  4. 第4話 全体主義の恐怖
  5. 第5話 宇宙最大の謎
  6. 第6話 ドース・涙の太陽
  7. 第7話 原子力、宇宙に対する大罪
  8. 第8話 甦りの銀河
  9. 第9話 ミーター・新シャーロック・ホームズ
  10. 第10話 甦りの水
  11. 第11話 夢を引き継ぐ者

あらすじ

『ファウンデーションの夢』最終章「アルカディアの遺言」は、次作『ミーターの大冒険』へと続く橋渡しの物語。

ターミナス暦443年。
アルカディア・ダレルは、81歳の生涯を閉じようとしていた。
彼女の屋敷を囲む丘は、ラヴェンダーの紫に染まり、風に漂う香りが彼女の記憶と交差する。

彼女が最後に語りかけるのは、14歳から共に歩んできた忠実な従僕、ミーター・マロウ。
「マロウ」という名は、アルカディアがダレル家を名門マロウ家へと結びつけた象徴であり、彼女の遺志そのものだった。

アルカディアはハリ・セルダンとガール・ドーニックが示した「銀河復興の希望」を、ミーターに託して語り始める。
その言葉は、まるでラヴェンダーの香りのように静かに、しかし確かに銀河へと広がっていく。

鶸色の伝説 — アルカディアとジンジャーの花

「ミーター、ねえ、この部屋の壁の色が鶸(ひわ)色だと気づいているかしら?」

窓辺にはヘディキウム――ジンジャーの花(花縮砂)が飾られている。
その花言葉は「豊かな心・信頼・慕われる愛・無駄なこと」。
アルカディアは微笑みながら、それが単なる装飾ではないと語る。

彼女は祖先ベリスの伝説を語り出す。
かつて新進気鋭のジャーナリスト、ジスカルド・ハニスがベリス岬の洞窟で発見した文書を届けてくれた。
そこには「ベリスとガール・ドーニックの出会い」、そして「放浪の宇宙人たちの涙の太陽」の物語が記されていたのだ。

(詳しくは第四部第1話「涙の黒い太陽」をご覧ください)

ベリスとその子孫ドース、グレディア――そしてアルカディアの祖母ベイタ。
彼女たちの手を経て伝えられた古文書の中には、
「不死の従僕が太古の星を再発見し、銀河回復の構想を授かった」
という驚くべき物語が刻まれていた。

アルカディアはその文書に心を奪われる。
ベリスの夢の中に現れた女性がこう告げたという。

「髪にジンジャーの花を挿してね」

その夢の中には「萌黄色の梅雨」が降り注いでいた。
――まるで今、アルカディアの窓辺を照らす光のように。

さらに、紅皿がヤマブキを捧げた時の武将の衣の色も語られる。
それはおそらく、ベリスの髪に飾られたジンジャーの花の色。
そして、ガール・ドーニックが伝えた教えがそこに重なる。

「人間が人間であるために最も大切なのは、限られたリソースで問題を解決する力だ。」

アルカディアはその精神を、自らの人生で体現してきたのだ。

まとめ:鶸色の伝説が示す銀河復興の希望

「鶸色の伝説」は、ラヴェンダーとジンジャーの香りに包まれたアルカディアの最期の対話である。
それは『ファウンデーション』の知性と『ミーターの大冒険』の情熱を結ぶ銀河復興の記憶の色。

次話:「12858年前」へ続く——

📘 著者:yatcha john s.
📖 『二万年後の銀河シリーズ』より
🌌 #ファウンデーションの夢 #アルカディアの遺言 #鶸色の伝説 #ミーターの大冒険 #ラヴェンダー #ジンジャーの花 #銀河復興

予告:第60話「12858年前」

『ファウンデーションの夢』最終部「アルカディアの遺言」第3話は、アルカディアが死を前にして、忠実な従僕ミーター・マロウへ最後の使命を託す場面である。

ターミナス暦443年、81歳のアルカディアは、ラヴェンダー畑に囲まれた自邸で静かに語り始める。彼女は「反ミュール」現象と呼ばれる謎を語り、それがかつて故郷の星に咲いていた「ヤマブキ」という花と関係していることを示唆する。そして、銀河が復興へと向かう500年周期の節目が近づいており、その使命を担うのがミーター自身であると告げる。

さらに彼女は、旧友オリンサス・ダムが進めている「帝国辞書編纂図書館の再建」について話す。その目的は、12858年前という、銀河史の空白期へ照準を合わせ、消えた人類の記録を復元することにあった。手掛かりは「児童のための知恵の書」ただ一つ。

アルカディアはその記録の奥に、「第二ファウンデーション」や「R・ドース」、そして歴史消滅の原因とも噂される不死の従僕の存在を感じ取る。
彼女はミーターに向かって、その“不死の従僕”を探し出し、真実を聞き出すように命じる。

ミーターはあきれながらも、彼女の切実な願いを受け止める。
——それが、銀河復興への鍵を握る「最後の遺言」となった。

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