地球への旅

ボー・アルーリン

第82話地球への旅

第82話 地球への旅
SF小説 ボー・アルーリン

銀河暦12066年――セルダン裁判の始まる前年。ダニール・オリヴォーは、人類の最古の故郷惑星「地球」への探索を決意した。その目的は、ハリ・セルダンの提唱する「心理歴史学」と、2つのファウンデーション計画を補強するためである。同時に、惑星シンナックスからガール・ドーニックを招き寄せることも視野に入れていた。

ダニールの心には、一つの哲学が響いていた。

「人類は樹上から平原へ、平原から海岸へ、風土から風土へ、大陸から大陸へと移動してきた。人類が移動を止めたとき、もはや生の向上を中止するであろう。...人間社会間の相違が絶対必要である。異なる習慣をもつ他国民は敵ではなく、ありがたいものである」(ノース・ホワイトヘッド著『科学と近代世界』より)

この言葉を胸に、彼は次なる使命を明確にしていた――停滞の暗黒時代を乗り越えるため、人類を支える礎を築くこと。その任務は、盟友ジスカルドから受け継いだ感応能力を用いて果たされるべきものだった。

回想と決意
航行中、ダニールは微睡みの中で遠い過去の記憶を辿っていた。あの2万年前、地球で出会ったニューヨーク市警イライジャ・ベイリーとの交流――彼の存在がもたらした「人間的な感覚」を思い出す。ロボットとしての自身に芽生えたその感情は、良し悪しの判断を超えた何かであった。

一方で、老いつつあるハリ・セルダンの姿が脳裏をよぎる。後継者が必要であることは明白だった。だがセルダンの世話はR・ドース(フィオーナ・ホーキング)に任せ、ダニール自身は自らの役割に専念する決意を固める。

彼の思考は、地球にあったという海――その名残を求める旅へと収束していった。惑星シンナックスは、その手がかりとなり得る。かつて地球の太古に存在したとされる海を、シンナックス人が再現したという話があるからだ。

「その海を見つけよう。そして、その星にあるはずの答えを探すのだ」

彼は静かに決意を固めた。

次話へつづく . . .

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