ガールの証古学の本領発揮

ボー・アルーリン

第98話 ガールの証古学の本領発揮
SF小説 ボー・アルーリン

「ボー、ついにダニールは、シンナックス人であるガールの証古学の再現可能性に着目しましたね」

イリーナはそう言って、深い知性を湛えた眼差しをボーに向けた。ターミナスの研究所の窓からは、星々が煌めく銀河の海が広がっている。

「その通りだね」ボーは静かに頷いた。「特にニフ的世界観を、直接ガールに診てもらう計画だ。惑星シンナックスの歴史的経緯も重要だが、それ以上に本体であるニフ精神文化こそが鍵となる。今後、私たちに代わってガールがこの惑星ターミナスを指導することになるだろう」

イリーナは微笑を浮かべながら、わずかに身を乗り出した。

「正直に言って、貴方のその真摯な姿勢には驚かされますね。功を譲るというか……ほぼ下準備が整ったと思ったら、大舞台からすっと姿を消して、次の世界へ夢を羽ばたかせる――そんな感じですから。本当に見事ですね。貴方こそ、ニフ人のようです」

ボーはその称賛をさらりと受け流しながら、未来の構想を思い描いていた。

「イリーナ、もうすぐベリスとマネルラが惑星アナクレオンから戻ってくる。母親よりも早くターミナスに到着するかもしれない」

「アリーチェ公妃が、ついに彼女たちを手放す決断を?」

イリーナは首を傾げたが、その声には一抹の期待が滲んでいた。

「ところでボー、ベリスは素晴らしい女性ですね。彼女こそ、惑星ターミナスの女王に相応しいのかもしれません」

「第1ファウンデーションは、徹頭徹尾、惑星シンナックスをお手本にする」ボーは断言した。「ベリスは惑星コンポレロンでカリブ・ゼロの私塾に通っていた。彼女はニフ人の精神と武芸を学び、その『働き』がこのターミナスにとって不可欠なものとなるだろう」

イリーナは興味深そうに目を細めた。

「大変興味深い話ですね。……でも貴方、生まれる星を間違えたんじゃないですか?」

ボーは思わず笑いを堪えきれず、軽く咳き込んだ。

「何を言ってるんだ。私の親友もシンナックス人だし、君だってニフ人の血を受け継いでいるじゃないか」

「まあ!」

2人は声を上げて笑い合った。その様子を、サハとカーリスが不思議そうに眺めていた。

「そうそう、今回のウォンダとガールの地球探訪には、前回ダニールが使ったシンパシック・ハーヴェイ号が使われるらしい」

ボーは思い出したように言った。

「それじゃあ、前回と同じく、惑星イオス経由で2人の様子を観測できますね!」

イリーナは興奮を隠しきれず、瞳を輝かせた。

次話につづく…

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