深い深い密林の奥に
空気という山がありました
それは緑が生い茂り
天空から降り注ぐ雨
と上空の湿気を絶えず吸い取り
やがて山頂から四方八方に流れ出し
あるいは山全体の体内に水脈をつくり
川となって泉となって
その島全体を潤していました
その島民は大変その山を崇め
その島の豊かさに日々感謝の祈りを捧げていました
その祈りはとても純粋で
決して食べ物やその他生活のことで
奪い合ったり、不平を言い合ったりしないばかりか
その島の向こうの世界の果てまでの
人々の幸せをお祈りする習慣を築いていきました
その島の人々の祈りと伝承には、その山の頂上に天地を創造した聖なる鳥の卵が繰り返し産み落とされ
遥か天空に浮かぶ星々に住む人々
彼らの先祖
そして彼らの千代先の子孫にも
恵みと幸せがあるのだと
日々言い聞かせあい、お祈りをしておりました
絵:小空さん
文:yatcha john s. 「幸せを産む卵の物語」
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