他人のそら似てるやろ?(上野俊一 稿)

上野俊一稿

他人のそら似てるやろ?

よく似た二つの県別マップがある。
四国から畿内、そして北陸へとつながるベルトが、よく似ているのだ。

■マップA「縄文人・渡来人、どっちに近い?」


■マップB「日本語の方言のアクセント概観」

マップAは、47都道府県人、各50サンプルの核ゲノムのSNP配列差異の主成分分析をもとに描かれたもの。東京大学の大橋順教授・生物科学研究チームが発表した論文の一部である。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC18CCA0Y1A610C2000000/
一見して分かるとおり、畿内を中心に四国や北陸へ連なったエリアがオレンジ色が濃く、渡来人度が高いことを示す。

対してマップBは、国内各地の方言のアクセントを分類したもので、金田一春彦氏の作成したマップを元に、複数の研究者の最新の知見により更新されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/日本語の方言のアクセント
畿内を中心に四国や北陸へ連なったエリアは「京阪式アクセントおよびその類似」と分類される方言である。その特徴は語頭から高起や低起があったり、1拍目から3拍目までにアクセントがあったり、他地域と比べ抑揚が大きい。

この二つの事象にはどんな関係があるのだろうか?
これが例えば、畿内だけの類似であれば、古代奈良・京都では渡来系の中央官僚とその一族が多かったせいだろうと、無難な答でおさまるかも知れない。
時を遡れば、3世紀末?に畿内に政権を建てた天族(扶余系?)、並びにそれを支えた物部族を始め渡来系をルーツとする民族がいた。さらに4~5世紀に渡来してきた秦氏、西漢氏や東漢氏、また7世紀の亡命百済人などが、中央官僚や技術者として多く採り立てられた。おそらくそれら全ての積み重ねの結果とも考えられる。

だが、畿内どころか四国や北陸に到る広範囲の重なりはどう考えれば良いのか?
宮廷周りに留まらず、何かドラスチックな民族の移動があったのか?
あるいは漢字文化をもたらした渡来人が、やまとことばにその声調をもたらしたのか?
まだまだ考え中である。
興味のある方にはぜひ謎解きをお願いしたい。

ところで韓国人によれば、関西弁は慶尚南道の方言に似ているという。抑揚が大きく、圧が強く、人々の性格も開放的で情に厚いらしい。
確かに釜山弁(慶尚南道)は関西弁と雰囲気がよく似ている。
https://www.youtube.com/watch?v=5KuzH21xEbQ&t=23s

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