スサノオの足跡㉒ オリオンの三ツ星と布都御魂(佐藤達矢 稿)

佐藤達矢稿

スサノオの足跡㉒ オリオンの三ツ星と布都御魂
その4 ソロモン72柱と布留御魂

掲載した図表をご覧ください。
1枚目は、「十種神宝」と呼ばれ、現在、石上神宮にご神宝として保管されているもので、別名「布留御魂」とも呼ばれます。
2枚目は、「ソロモン72柱の悪魔」の中の序列第1位、バエルという悪魔の紋章です。
そして3枚目は、同じく序列第29位、アスタロトという悪魔の紋章。
じっくりご覧になってみてください。なんだか似ていませんか?・・・。

バエルの紋章は、十種神宝を組み合わせることで出来上がりそうな気がします。
また、アスタロトの紋章は、ヘブライ人や日本の陰陽師が呪術で使う「五芒星」がはっきりと見て取れます。この五芒星は京都にある安倍晴明を祀る晴明神社の紋章でもあります。
なぜ、これらの悪魔の紋章が日本では神器として扱われているのでしょうか?

それは、これらが日本に伝来するまでの歴史を遡ることで明らかになります。
バエルやアスタロトは現在のイスラエルやレバノン、シリアあたりの土着神として、ヘブライ人という種族がそこに現れる以前から暮らしていた人々の神様でした。
悪魔バエルは豊穣の神であり、悪魔アスタロトはローマやギリシアではアフロディーテという美しい女神でした。
これらの神様がなぜ悪魔に変わったのかというと、その地にイスラエルという国を建国したヘブライ人たちにとっては敵の崇拝する神であり、異教徒の神だったからです。

ですが、BC971年、古代イスラエル王国にソロモンという名の王が即位すると、この王はなんと魔術を使って72もの悪魔を使役し、悪魔の力を使って宮殿を造営し、その後すべての悪魔を封印した、という伝説が残っています。
バエルもアスタロトもソロモンが使役した72柱の悪魔のうちの二柱で、また、その中でもとりわけ強力な悪魔で、バエルは序列第1位、アスタロトは29位ながらルシファー(サタン)、ベルゼブブと並んで地獄の三大支配者のひとりとされています。ベルゼブブはバエルゼブブとも読め、バエルの変異体とも考えられますので、古代人の考えた地獄界の君主はサタン、バエル、アスタロトの3柱だったのかもしれません。

悪魔を使役する際は、図のような紋章の入った指輪を指につけ、それをかざしながら交渉しないと絶対にいうことを聞いてくれない、ということです。

・・・あまりにも荒唐無稽な話ですが、実際にこの「悪魔を使役する紋章」は、十種神宝として日本に伝えられているようなのです。

そして、再びアスタロトの紋章を見てください。
五芒星の中に剣のようなものが描かれているのがわかりますでしょうか?
これこそが日本において神武天皇を蘇らせた「布都御魂」、あるいはスサノオの剣「布都斯御魂」だと思われます。そして前述の「布留御魂」とともに、これらはすべて石上神宮のご神宝として大切に保管されています。

悪魔を召喚し、使役するための道具が日本の神社のご神宝だった、・・・と考えるとなんともおぞましい感覚になりますが、しかし、よく考えてみましょう。この悪魔たちはもともと「神様」だったのです。

神様を呼び出すための道具が、ご神宝として神社に保管されているとしたら、なんの不自然さもありません。
中世に書かれた解説書では、サタンやアスタロトは「堕天使」として書かれ、もとは天使の身分にあったものが神様に反逆して地獄に落ち、悪魔となったとされています。
・・・これはおそらく、ユダヤ教徒たちの苦しい言い訳でしょう。もともと神様であった存在を悪魔としたのは彼らがその神を奉じていた異教徒と戦争をしたからです。

実際、解説書にはこうも書かれています。「バエルは戦を勝利に導く戦略を与え、また、なんでも望みのまま財宝を与える。アスタロトは学術全般に深遠な知識を持ち、人間に教える。また、過去、現在、未来のことをすべて語ることができる。」
こんな文言だけを読むと、「いったいどこが悪魔なんだ?」と思えてきます。

ところで、なぜソロモンが72柱もの悪魔を召喚し、使役することまでできたのか?という謎が残りますが、この「召喚術」に近いものが日本にもあります。
それは密教と呼ばれる仏教の宗派で、真言宗と天台宗に分かれています。

密教の修行の根幹は「真言」というマントラ(呪文)を唱えるもので、大日如来をはじめとする14の神仏にそれぞれ固有の真言があり、これを繰り返し何度も唱えながら祈念することで、その神仏のご加護を得ようとするものです。
また、密教の神仏にはソロモン72柱と同じような、特有の紋章があります。
前回、十種神宝等のご神宝を日本にもたらしたのは徐福だという説をご紹介いたしましたが、その徐福は若い頃にインドに留学し、仏教を学んで持ち帰ったという説があります。
もしかしたら徐福が学んだのは密教系の仏教であり、そこでご神宝を入手したのかもしれません。

さて、歴史を整理してみましょう。
ソロモンの即位がBC971年、北イスラエル王国の滅亡がBC722年、徐福の日本渡来がBC200年頃・・・。
徐福の渡来より100年余り前から、現在のイラクにあったエラム王国は敵国からの侵略を受けるようになり、やがてその首都、スーサの王は東方へと出奔します。
エラム王国のあった場所は古代からシュメール文明やメソポタミア文明が勃興した地域で、当時、世界最高級の文明力を誇っていました。

ソロモンの「悪魔召喚術」が、その用具とともに東に伝わり、イスラエル→スーサ→インド→中国→日本というルートで移動していったとしたら、すべてのつじつまが合うのですが・・・。
ちなみに、悪魔バエルは「東方を治める王」であるとも書かれています。

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