ミーターの大冒険 余白 第22話 最短波長のひかり
ハニス たしかに、たしかに。思い出したぞ。亡きアルカディアの言葉を。ミーター君が言ってたことをすっかり忘れていた。なんてこった!
俺としたことが、しかもミーター君までその事を忘れてしまっていたというのであろうか?
ヴァレリー いいえ、ミーター様は、ご理解していたようです。
ハニス じゃあ、俺だけが分かってなかったというのか?
ヴァレリー いいえ、そこまで言われなくても。ミーター様のお考えは、例の漂流するシンナックス人の姿を念頭にあったと思われます。
ハニス ええと、「さ迷えるシンナックス人」か?
ヴァレリー ええ、そのようです。「移動」とは、最初から目的地が定まっているわけではありませんよ。
そのようにまず「目的地ありき」という考え方ですと、もうすでに「定住化」が決まっているようなものです。
移動という行為は、目的地志向というもの以上に移動しながらその過程で回りの状況を探りながら、試行錯誤を繰り返して、ある時は、「漂流」している感覚に襲われても、見えない先を信じながら、敢えてその冒険の挑戦をしていくその姿勢にあるのではないでしょうか。
ハニス いや、キミの神妙な哲学講義には参ったなあ!
まったく、まったく。
それじゃ、おそらく、まずこの天の川銀河から外の宇宙に抜け出るチャレンジがまだ人類に課せられている、というんだな。
ヴァレリー はい、そういうことでしょう。
ハニス たしかに、「紫の星雲」は、この地球からは、ターミナス(ムラサキ)の先の小マジェラン銀河になる。大マジェラン銀河ではなく。南の星座群のきょしちょう座(Tucana)の方向だね。

ヴァレリー そうですね。漂泊のシンナックス人の伝説は、単なる伝説ではなく、真実の出来事だったのでしょうか。

そうです。「紫」の意味は、7色の虹の波長の一番短い光で、「端」を意味します。
さらに夜の空や宇宙を連想させます。 また遥かに至高の場所の意味です。 「人間の住んでいる世界では想像もつかないような神秘の世界や理想の世界をイメージします」。 ロマンで満ち、繊細な感性を持っている人やファンタジーな世界が好きな人の色かもしれません。
ハニス そうか。
しかも、ダニールは、そのシンナックス人の実在を知っていて、わざと人類に隠していた、というんだな!
ヴァレリー いいえ、そうとも言えますし、違うとも言えますよ。
ハニスさん、思い出してください。ターミナスにファウンデーションが設立されようとした時、まだガール・ドーニックが第一責任者として赴任する前に、ハリ・セルダンの孫娘ベリスに一瞬ですけど現れた「涙の黒い太陽」の謎は、細々ですが、小数の人々にはいつもはっきりと輝いていた大事な真理だったんです。
ハニス おかげで、アルカディアを通してわたしもその真理を有する仲間の端っこの一員として選ばれと思う。
ヴァレリー そうですよ。その通りですよ。
それで、次のお話しを申し上げましょう。
ハニス ええっ!
ヴァレリー 惑星イオスのドースさんからの打診が届いております。
ハニス なんだって、ドースさんから?
ヴァレリー はい、ジスカルド・ハニスさんのご意向とご健康の都合が許されましたら、我が惑星イオスにお越し頂きませんか、とのお願いです。
ハニス なんだって、どうなっているんだ?
ヴァレリー あくまでもハニスさんのご意向次第です。ご健康の面については、このわたくしが保証いたします。
ハニス ここ地球で、やり残したことがまだ山ほどあるし、
だが、今迷いはない。
思い出す。
あのターミナスのベリス岬の洞窟で落ちた後の、あのアルカディアの輝かしいご容姿を!
ヴァレリー そうですよ。ついでに申し上げあげます。あのガイアの女性、ベニス様のご容姿はあのアルカディア様と生き写しだそうです。
ハニスさんの次のご任務は、ガイアの魂の女性を伴って小マジェラン銀河に向かわれるということです。
ベニス様の胸には「山吹色のシリンダー・ペンダント」が着けられています。

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