古代の賢者

2万年後の銀河

ミーターの大冒険 余白 第27話 古代の賢者

ヴァレリー ハニスさん、今おっしゃったダニール様が、シンナックス人とは異なった方法で、シンナックス人を超えると言われることですね?

ハニス もう一度言おう。ダニールはこの天の川銀河を縦横無尽に知り尽くした元惑星オーロラのロボットだよ。オーロラを含むスペーサーのパターンと、その他のイライジャ・ベイリーやハリ・セルダンのようなセッツラーのパターンの両方に精通している。
 彼は、シンナックス人が、スペーサーやセッツラーをすでに超えていることに気がついていた。
 それは、はじめてガール・ドーニックと出会ったときからであった。
 ガール・ドーニックが、微少ながら、ダニールのような精神感能力を保持していていながら、同時に、天地の気を自由自在に操れる神妙な力を操作する能力があるのに、驚嘆したのだよ。
 それをいうなら、天地の気を自由自在に操れる、というのでは説明は不十分だがな。
 もっと正確にいうなら、自然と一体化し、自欲に執着しないで、「自我を消す」と言った方がいいだろう。

ヴァレリー ええ、それは、ただ単なる禁欲思想とは違うんですね。

ハニス そうだ。禁欲ではない。「あるがまま」の思想とも言える。その点についていえば、だいぶスペーサーとも違えば、他のセッツラーの精神とも違う。ダニールは、そのガールの思想に「新しさ」を感知したと思う。
 そして、それを言うなれば、自分の弱点が、スペーサーやセッツラーに大幅に傾いていた点にあった、ということも。
 彼は、ある時まで無視していたガール・ドーニックの存在の背後のあるシンナックス人の流儀をもう一度、再発見したのだよ。その発端は、ミーター君のおかげと言っても過言ではないだろうよ。

ヴァレリー 500年の後ですね。えっ、それほどシンナックス人の流儀が特殊だと言うことですか、博士?

ハニス そうだ。それが決定的に顕著化されるのは、「宇宙潮流」の気に沿う生き方という点だ。
 「宇宙潮流」はこの銀河にも貫通している。
 それは外部宇宙から流れ込んでいる。
 シンナックス人たちは、その宇宙潮流の気を捉えて、それに促されるように、外銀河へ誘われて、出ていった。

ヴァレリー その「宇宙潮流」の把捉が、「証古学」の心髄なのですね?

ハニス そうだとも。簡単に言ってしまえば、それに尽きるが、その「証古学」の把捉内容は、通常の科学では極めて困難だ。それを、別な言い方で、「気学」とも呼ぶようにな。

ヴァレリー そのような生き方は、わたくしにもおおよそわかります。やはり、わたくしにも畏れおおくも、ベリス由来のアルカディア家に通じるシンナックスの「気」が流れているのがわかりますので。

ハニス まさに!
 考えてもごらん、アルカディアの魂が全銀河を揺り動かし、ミーター君やイルミナを通して、やがてあの不死の従僕を結局奮い立たせて、「宇宙潮流」に載せたんだね!
 今まさにダニールはそれを捉えて、アンドロメダ銀河へ旅立とうとしている。

ヴァレリー はい、ダニール様にとっても今までのお仕事は長い長いご苦労の年月でした。あの方は、やっと銀河の従僕というお仕事から解放されて本来のお姿に戻られた、と申せますね。

ハニス ヴァレリー君、キミの理解力は、俺以上だ。俺が化石木の前で倒れて意識を失っている間に、俺は天国に行って、いい知恵を頂いて、やっと知り得たというのに、キミは直感的に理解する。恐れ入る能力だこと!

ヴァレリー まあ、可分なお誉めようだこと!
 ハニス先生、それにしても驚きをとびこえておりますのは、そのシンナックス人たちのご先祖様のことです。

ハニス むむむっ!
 古代の賢者か!

次話につづく。

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