科学文明を拓いたゴットフリート・ライプニッツ

2万年後の銀河

ミーターの大冒険 余白 第17話 科学文明を拓いたゴットフリート・ライプニッツ

ヴァレリー いいえ、私の意見は単純にお世辞ではありませんよ。
 同じく、歴史消滅からの回復以来、あなた様がおっしゃった「ダニールのアポリア」の脱却の試行錯誤は、いわば、人類の哲学的指向の展望と期を一にしているようですから。

ハニス どういうこと?

ヴァレリー 人類の歴史時代にゴートフリート・ライプニッツという偉人がおりました。その人は、古代中国に易、八卦の概念を再発見して、2進法を思いつき、それがのちに鋼鉄都市以前の文明でコンピューターの原理に応用されました。

 彼はこの世に構成している微小単位を閉じられた「モナド」という概念を構想したり、微分・積分の数学の基礎にも貢献しています。

ハニス そうそう、それは「予定調和」という思想から来ているのだったな。
 だが、その「閉じられた個」という思想では、この宇宙はやはり、「閉塞」から免れられないのではないのかな、哲女殿?

ヴァレリー そのようです。そこでですよ。「開かれた宇宙」という考えは、あなた様が先ほどお述べくださった「第一宇宙カンブリア期」まで待たなければなりませんでした。

ハニス 「開かれた宇宙」観だって!

ヴァレリー 2回にわたる地球大戦を通して人類は、もともと地球人が同じ種族で同じ起源をもち、それぞれの民族は、同価値の多様性を有しているという考えに至ったのです。
 それには、その証拠立てに貢献したのは、遺伝学であったのですが、その他の数多くの学問領域でも、その同じ方向性を持ちはじめました。

ハニス 例えば、どういう分野かな?

ヴァレリー 科学の領域では、先ほどハニスさんが指摘して下さったアインシュタインの「相対性」原理です。それから文化人類学。思想的には「構造主義」とかも。
 そして、それらに先だって、そういう宇宙観を見通していたのが、アルフレッド・ホワイトヘッドであったと見られます。彼はライプニッツのモナドに対して「アクチュアル・エンティティ」とういう概念を対峙させています。

ハニス なるほど、その思想を踏襲して実践化に用いたのが地球暦23世紀のジョン・ナックだと言うんだな。

ヴァレリー おっしゃる通りです。

ハニス そこからダニールがルリエス思想として応用した、ということか?
 だが、その理想も「混沌」の前では歯が立たない。
 そこから、ダニールはどうやってそれを克服して行った。して行くのだろうか?

ヴァレリー はっきり言えませんが、一つの解決策としては、先ほどの「陰陽」以前に行き着くかと。

ハニス 「陰陽以前」だと。

ヴァレリー そうです。ジョン・ナックの思想には、ガール・ドーニックの「証古学」(paleontogy)の基礎的概念が盛り込まれていました。いわば、「微細心理歴史学」の理論です。

ハニス はあ、それは、「反陰陽」だな。

ヴァレリー そうです。それには、もう一つの可能性もありますよ。

ハニス どう言った?

ヴァレリー わたしの存在は、そこから来ていますので。

ハニス いよいよ面白い。その先を頼む。

To be continued …

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